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ブリーダーとペットショップはどっちがいい?|価格差の理由・保証の中身・保護犬との違いを比較

ブリーダーとペットショップはどっちがいい?|価格差の理由と、保証の中身の違いを公開情報で比べる

「ブリーダーとペットショップ、どっちがいいか」は、犬を迎える人のほぼ全員が一度は考える問いです。ネット上の答えは「ブリーダーの方が安くて健康」か「ショップは悪」のどちらかに寄りがちですが、どちらも事業所で対面説明を受けないと迎えられないという点では同じ土俵にいます。

この記事では、子犬の流通の仕組み、オークションの手数料、店頭価格の決め方、保証の中身、法律上の共通点を、公開されている数字と公式ページで比べます。3つめの選択肢として保護犬も表に入れました。そのうえで、どれが向いているかを人の条件で分けます。

ブリーダーとペットショップ|犬舎で親犬と子犬を見学している家族

先に結論

  • 直販が安い主な理由は、店頭の値付けと店舗の運営費です。オークションの手数料は落札価格の5〜6%にすぎず、価格差の主因ではありません。店頭価格は「仕入れ値の4〜5倍」が一般的とされています。
  • ペットショップの生体保証は、治療費を出しません。大手2社の公式ページを見ると、本体は「死亡時に代わりの犬」で、通院・入院の治療費は対象外と明記されています。
  • 法律上の手順はどちらも同じです。事業所で現物を見て対面説明を受けること、生後56日を過ぎてからの引き渡しは、ブリーダーもショップも同じ義務です。
  • ブリーダー側にも問題はあります。環境省の一斉調査では、調べたブリーダーの約5割に法令違反がありました。「ブリーダーなら安心」ではなく、犬舎ごとに見るしかありません。
  • 成犬でよければ、保護犬という選択肢もあります。譲渡費用は自治体で数千円、団体で3〜4万円台が多く、そのかわり団体ごとの譲渡条件があります。

ブリーダーとペットショップと保護犬|3つの迎え方を比較

先に、3つの迎え方を表で並べます。数字の根拠は、この後の各章と保護犬とブリーダーの比較で説明しています。

項目 ブリーダー直販 ペットショップ 保護犬
費用 子犬の中央値は20万円台(犬種による)。価格はブリーダーが決める 店舗の運営費が乗る。店頭価格は仕入れ値の4〜5倍が一般的とされる 自治体は数千円、団体は3〜4万円台が多い
迎えられる犬 子犬。犬種・性別・毛色を選べる 子犬。複数の犬種をその場で見比べられる 成犬が中心(自治体の譲渡は約7割が成犬)
親犬・育った環境 見学で親犬と犬舎を見られる 見られない 成犬なら性格と大きさが分かる。来歴が不明なことも
保証 サイトの保証+犬舎ごとの生体保証 死亡時の代犬が中心。治療費は対象外 代犬などの保証は通常ない。費用に避妊去勢・マイクロチップ込みの団体がある
条件 購入条件はほぼなし 購入条件はほぼなし 年齢・単身・家庭訪問など団体ごとに条件あり
迎えるまで 犬舎で見学・対面説明。生後56日以降に引き渡し 店頭で対面説明。生後56日以降に引き渡し 応募・面談・トライアルで数週間〜

子犬を迎えるなら、ブリーダー直販とペットショップの違いは価格に店舗の分が乗るかと親犬を見られるかの2点に集約されます。成犬でよければ、費用が一桁違う保護犬も比べる価値があります。

入手先の割合|1年以内に迎えた人の57%がショップ

ペットフード協会の2025年の調査では、1年以内に犬を飼い始めた人の入手先はペットショップで購入が57.3%、業者のブリーダーから直接購入が11.4%でした。友人・知人のブリーダーが8.1%、マッチングサイトが3.8%、譲渡会が1.1%と続きます。

推移を見ると、ペットショップは2023年の63.3%から2年で6ポイント下がり、ブリーダー直接は16.3%から11.4%に動いています。年によるぶれが大きい調査ですが、依然として半分以上がペットショップというのが現状です。ネットで「ブリーダー直販」の記事を読む人が多い割に、実際の入手先は圧倒的にショップです。

ショップの子犬の仕入れ先|約5割がオークション経由

ペットショップの仕入れ経路は、大きく3つあります。

  1. ブリーダー → ペットオークション(競り市) → ショップ。最も多い経路です。獣医師の石井万寿美氏の記事では店頭の犬の「約5割」、別の推計では「6〜7割」がオークション経由とされています。
  2. ブリーダー → ショップへ直接。付き合いのあるブリーダーから直接仕入れる形です。
  3. 大手チェーンの自社繁殖。自社で繁殖施設を持つ会社もあります。

オークションの規模感も、運営会社や報道で分かります。埼玉県上里町の会場は毎週水曜に約900頭が出品され、落札価格は「20万〜30万円台が目立つ」と2021年の記事にあります。5年ほど前は10万円台が主流だったそうで、子犬の仕入れ値自体が上がっています。

つまり、ペットショップの子犬も元をたどれば誰かのブリーダーが繁殖した子犬です。違いは、間にオークションと店舗が入るかどうかです。

ブリーダー直販とペットショップで、子犬が家に来るまでの流れの違い
ブリーダー直販は犬舎から家族へ直接、ペットショップはブリーダーからペットオークションと店舗を通って家族に届きます。オークションの手数料は落札価格の5〜6%で、店舗では家賃・人件費・売れ残りの分が価格に乗ります。

価格差の理由|店頭価格は仕入れ値の4〜5倍が一般的

ペットショップのショーケースの前に立つ人

「中間マージンがあるから高い」とよく言われますが、オークションの手数料は意外と小さいです。運営会社の公式ページを見ると、関東の会場では落札価格の6%(落札20万円なら手数料12,000円、検査料と箱代を引いて精算額187,500円)、北海道の会場では5%です。このほかに出品者側の入会費・年会費がかかります。

価格差の主因は、その先です。ペットショップ経営の経験者による記事では、店頭価格は「仕入れ値の4〜5倍」に設定するのが一般的とされています。たとえば生体7万円の子犬に、ワクチン・マイクロチップ・生体保証・用品を足して総額19万8000円という見積例が紹介されています。

生体7万円の子犬が、ワクチンや用品を足して総額19万8000円になるペットショップの見積もりの例
生体7万円の子犬に、ワクチン・マイクロチップ・生体保証・用品を足して総額19万8000円になった見積もりの例です。価格差の主な理由は、オークションの手数料より店頭の値付けにあります。

この差額には、店舗の家賃、スタッフの人件費、売れ残った子犬のコストが含まれます。大手チェーンは1週間単位で値下げをし、4ヶ月から半年で売れないと仕入れ価格と販売価格が逆転する、という業界記事もあります。売れた子犬の価格に、売れなかった子犬の分が乗っている構造です。

同じ犬種での直接比較は、中立的な統計がありません。ブリーダー側の小規模な調査では、マルプーが都内大手5店舗の平均35.8万円に対して関東のブリーダー10軒の平均22.3万円という例があります。販売者側の調査なので割り引いて見る必要がありますが、傾向としては1.5倍前後の差が出ています。参考までに、2025年の調査で犬を有償で迎えた人の生体価格の平均は19.0万円、1年以内に迎えた人では21.6万円です。

ブリーダー直販でも、価格はブリーダーが決めます。直販サイトは仲介で、売主はブリーダー本人です。人気の犬種や毛色、ショーに出ている親犬の子は、ショップより高いこともあります。「直販だから必ず安い」ではなく、「店舗分の上乗せがない」と理解してください。

保証の中身|ショップの生体保証は治療費を出さない

ペットショップの強みとして「保証が手厚い」と言われます。大手2社の公式ページで中身を確認しました。

  • ペッツファースト「ほっとサポート」:死亡時に代わりの犬を提供する生命保障、先天性疾患の保障(代犬または手術費の一部)、ヘルニア手術費の一部、健康診断・ワクチン・フィラリア予防1万円分・避妊去勢1.5万円分のチケットなど。公式ページの比較表に「入院・通院の治療費はほっとサポート×、ペット保険○」と明記されています。
  • Coo&RIKU「生命保障制度」:期間を1〜100ヶ月から選び、保障額は価格の10%(1ヶ月)〜50%(100ヶ月)。金銭ではなく代わりのペットで、先天性疾患を含みますが治療費は対象外です。

つまり、ショップの生体保証の本体は「亡くなったときに代わりの子を」というもので、病気になったときの治療費は出ません。治療費が心配なら、どちらから迎えてもペット保険は別に必要です。

ブリーダー直販の場合、保証はサイトとブリーダーの二段構えです。みんなのブリーダーには詐欺時の全額返金と1ヶ月の無料ペット保険、ブリーダーズには30日間・上限10万円の治療費保証があります。そのうえで、ブリーダー個人の生体保証(期間や条件は犬舎ごと)が付きます。治療費に直接効く保証は、むしろ直販側にあるのが実情です。各サイトの保証の違いは取引保証・生体保証・無料ペット保険の違いにまとめています。詳しくはみんなのブリーダー・ブリーダーズの口コミ・評判にまとめています。

取引保証・無料ペット保険・生体保証の使う場面の違い
直販サイトの保証は3種類あり、取引保証は詐欺、無料ペット保険はお迎え直後の通院や手術、生体保証は生まれつきの病気や死亡に備えるものです。

法律上の手順|どちらも事業所での対面説明が必須

動物愛護管理法は、販売する側が誰であっても同じ義務を課しています。

  • 第21条の4:販売業者は、事業所で動物を直接見せ、生年月日などを対面で説明しなければならない。2020年6月の改正施行で、説明の場所が「事業所」に限定されました。
  • 第22条の5:生後56日を経過しない犬猫の販売・引き渡し・展示の禁止。天然記念物の日本犬6種を専門ブリーダーが直接販売する場合だけ49日。
  • 数値規制(2021年6月施行):ケージの大きさ、1日3時間以上の運動、従業員1人あたりの頭数(犬20頭、繁殖犬15頭)、雌犬の出産は生涯6回まで・交配は6歳以下、長時間の展示は6時間ごとに休止、夜8時から朝8時の展示禁止など。

この中で生活に直結するのは第21条の4です。ブリーダー直販でも、犬舎(登録された事業所)に行って説明を受けないと引き渡しは受けられません。「空輸だけで受け取る」は2020年6月から違法です。遠方のブリーダーから迎えるには、みんなのブリーダーの近隣引渡サービスのような、事業所で対面説明ができる仕組みを使う必要があります。詳しくはブリーダーから子犬を迎える流れで説明しています。

ブリーダーが守るべき3つの最低ライン(登録番号・事業所での対面説明・生後56日)
登録番号の表示、事業所での対面説明、生後56日を過ぎてからの引き渡しは、ブリーダーにもペットショップにも同じく課されている義務です。

なお、「売れ残り」についても2012年の改正で、販売が難しくなった犬猫の扱いを計画として義務づけ、自治体は業者からの引き取りを拒否できるようになっています。

ブリーダー側の注意点|一斉調査で約5割に法令違反

ここまで読むとブリーダー直販が有利に見えますが、ブリーダー側にも問題はあります。

環境省が2024年2月に発表した一斉調査では、調べたブリーダー約1,400事業所のうち約700、つまり約5割に法令違反がありました。内訳は、帳簿の不備496件、帝王切開の出生証明書の不備128件、繁殖台帳の不備314件、8週齢規制違反50件です。環境省は同年9月に業界団体へ遵守を要請しています。

直販サイトの利用規約には「サイトは売買契約の当事者ではない」「トラブルは当事者間で解決」と書かれています。サイトが選んでくれるわけではなく、見学で自分の目で確かめるのが前提です。確認項目は悪質ブリーダーの見分け方と動物取扱業の登録番号の調べ方にまとめています。

3つめの選択肢|保護犬は費用が数千円〜4万円台

ブリーダーかペットショップかで迷っている人の中には、保護犬も気になっている人がいると思います。違いを3点にまとめます。

  • 費用:自治体の動物愛護センターは数千円、保護団体は3〜4万円台が多いです。団体の費用には、ワクチン・避妊去勢・マイクロチップが含まれている例があります。
  • 迎えられる犬:環境省の統計(令和6年度)では、自治体から譲渡された犬の約7割が成犬でした。子犬は少なく、応募が集中します。
  • 条件:一人暮らし・高齢・共働きで断られることがあります。ただし後見人(代わりに飼える人)を立てれば迎えられる自治体も多く、厳しさは自治体や団体でかなり違います。

ブリーダーの引退犬や、崩壊した繁殖施設から保護された純血種の成犬もいます。「犬種は決めているが、子犬でなくてもいい」という人は、保護犬も候補に入ります。費用の実例と、自治体ごとの譲渡条件は保護犬とブリーダーはどっちがいい?にまとめています。

どれが向いているか|6つの条件で分ける

犬種が決まっていて、親犬と飼育環境を自分の目で見たい

ブリーダー直販親犬を見られるのは直販だけです。見学は法律上どちらも必要なので、それを「犬舎を見る機会」として使えます。

店舗の上乗せがない価格で迎えたい

ブリーダー直販価格はブリーダーが決めるので必ず安いとは限りませんが、店舗の運営費と売れ残り分は乗りません。

複数の犬種を同じ日に見比べて決めたい

ペットショップ1つの犬舎は2〜3犬種が普通です。見比べてから決めたいなら、店頭の方が向いています。

分割払い・用品一式・代犬保証をまとめて済ませたい

ペットショップパッケージになっているのが店舗の強みです。ただし治療費は保証の対象外なので、ペット保険は別に考えてください。

遠方の犬舎に行く時間がない

近くのペットショップ、または近隣引渡のある直販サイトどちらも事業所での対面説明は必須です。直販ならみんなのブリーダーの近隣引渡サービスが選択肢になります。

成犬でよく、費用を抑えたい

保護犬自治体なら数千円、団体でも3〜4万円台が中心です。性格と大きさが分かった状態で迎えられます。譲渡条件は自治体や団体ごとに違います。

直販に決めた場合、どのサイトから探すかはブリーダーサイト10社の比較で選べます。

ブリーダーにもペットショップにも共通する販売のルールは、環境省「STOP!生後56日までの犬猫販売」のページで確認できます。

よくある質問

ブリーダーの子犬は、ペットショップより健康ですか?
一概には言えません。環境省の調査ではブリーダーの約5割に法令違反があり、犬舎ごとの差が大きいです。親犬と飼育環境を見学で確認できる点は直販の利点ですが、「ブリーダーだから健康」という保証はありません。
ペットショップの子犬は「売れ残り」が心配です。
大手は1週間単位で値下げし、半年ほどで仕入れ価格を下回るという業界記事があります。月齢が進んだ子犬自体に問題があるわけではなく、確認すべきはワクチンの接種歴と現在の健康状態です。直販サイトの値引きについてはブリーダーの「売れ残り」の子犬で書いています。
ブリーダーから迎えるのに、見学は本当に必要ですか?
必要です。2020年6月から、対面説明の場所が事業所に限定されました。空輸だけで受け取ることはできません。
ペットショップの生体保証があれば、ペット保険は不要ですか?
不要とは言えません。大手2社の公式ページで、生体保証は死亡時の代犬や先天性疾患が対象で、通院・入院の治療費は対象外と明記されています。
ペットショップと保護犬では、どちらが安いですか?
保護犬です。自治体の譲渡は数千円、保護団体は3〜4万円台が多く、子犬の価格とは一桁違います。ただし成犬が中心で、譲渡条件があります。