保護犬の譲渡費用はいくら?|自治体は0円が多く、団体は3〜4万円。内訳と「高い」と言われる理由
保護犬の譲渡費用はいくらかかるのか。「無料で迎えられると思っていたら、数万円と言われた」「団体によって金額がばらばらで、高いのか安いのかわからない」と迷う人は多いと思います。
先に答えると、自治体の動物愛護センターは大都市の多くで0円、民間の保護団体は3万〜4万円が中心です。差が出るのは、ワクチンや不妊去勢手術などの医療費を、誰がどこまで負担しているかの違いです。この記事では、環境省の手数料一覧と各団体の公式ページをもとに、金額と内訳、「高い」と言われる理由を整理します。

先に結論
- 自治体の動物愛護センターは、東京・大阪・神奈川・福岡・札幌など大都市の多くで譲渡手数料0円です。ただし愛知県9,000円、徳島県14,000円など有料の県もあります。
- 民間の保護団体は3万〜4万円が中心です。ワクチン、不妊去勢手術、マイクロチップなど、譲渡までにかかった医療費の一部です。
- 「高い」と感じる金額の中身は、ほとんどが医療費です。ある団体は、基本の処置だけで1頭約7万2,000円かかると公開しています。
- どこから迎えても、畜犬登録やマイクロチップの変更登録などは別にかかります。払う前に、金額の内訳を書面で確かめてください。
保護犬の譲渡費用の相場|迎える先で0円〜6万円
保護犬を迎える先は、大きく3つに分かれます。費用の考え方がそれぞれ違うので、まず全体を並べます。
| 迎える先 | 譲渡費用の目安 |
|---|---|
| 自治体 | 0円が多い。有料の県は3,000〜14,000円ほど |
| 保護団体 | 3万〜4万円が中心。上限6万円の団体もある |
| 里親募集サイト | 生体代は取れない。ワクチン代などの実費だけ |
環境省「犬・猫の引取り等手数料」(令和6年3月31日現在)と各団体・各サイトの公式ページで2026年10月27日に確認。
ブリーダーから子犬を迎えると20万円台が中心なので、保護犬はどこから迎えても大きく安くなります。違いの全体は保護犬とブリーダーはどっちがいい?で比べています。
自治体の譲渡費用|大都市は0円、有料の県もある
環境省は、全国の自治体の譲渡手数料を一覧(PDF)で公開しています。犬の譲渡手数料を見ると、大都市の多くは0円でした。
| 自治体 | 犬の譲渡手数料 |
|---|---|
| 東京都 | 0円 |
| 神奈川県 | 0円(不妊去勢とワクチンは実施済み) |
| 大阪府 | 0円(マイクロチップは挿入済み) |
| 福岡市 | 0円 |
| 札幌市 | 0円(市内で飼うなら畜犬登録3,200円) |
| 愛知県 | 不妊去勢済み9,000円、未実施5,000円 |
| 徳島県 | 14,000円(不妊去勢・マイクロチップ込み) |
| 静岡県 | 4,500円 |
環境省「犬・猫の引取り等手数料」(令和6年3月31日現在)と各自治体の公式ページで確認。
愛知県は令和2年4月から有料にしていて、理由を「譲渡事業を今後も安定して継続的に行うため」と説明しています。手数料が0円でも、名古屋市はマイクロチップの装着に3,400円、川崎市は2,000円など、別の料金がかかる自治体もあります。
- 畜犬登録:市区町村への登録。札幌市は3,200円
- マイクロチップの変更登録:飼い主の名前を変える手続き。オンラインで400円(令和6年4月から)
- 狂犬病の予防注射:毎年1回。注射済票の交付にも手数料がかかる
保護団体の譲渡費用|内訳はワクチン・不妊去勢・マイクロチップ
民間の保護団体は、金額だけでなく、何が含まれるかを公開しているところが多くあります。公式ページで確かめられた例です。
| 団体 | 譲渡費用と内訳 |
|---|---|
| ピースワンコ | 一律3万円。マイクロチップ、不妊去勢、医療費の一部 |
| ARK | 3万円。ワクチン、不妊去勢、マイクロチップ込み。登録料などは別 |
| ランコントレ・ミグノン | 上限3万円。不妊去勢、マイクロチップ、ワクチン、血液検査の実費 |
| ライフボート | 4万円。不妊去勢、駆虫、5種以上のワクチン、マイクロチップ、飼育費、人件費 |
| みなしご救援隊 | 寄付として小〜中型犬2万円から、大型犬3万円から |
| PEACE TAILS | 上限6万円。検査、不妊去勢、マイクロチップ、歯石取り、ワクチンなど |
各団体の公式ページで2026年10月27日に確認。金額は改定されることがあります。
このほか、ペット里親会は項目ごとに積み上げる方式で、初期検査15,000円、ワクチン7,000円×回数、不妊手術38,000円〜などを寄付として受けています。積み上げ方式は、犬の状態によって総額が変わります。
譲渡会や保護犬カフェで出会った場合も、費用は運営している団体の決まりに従います。カフェ独自の料金表は見当たりませんでした。
「高い」と言われる理由|医療費の実費と運営費
「保護犬なのにお金を取るの?」と感じる人もいます。ただ、金額の中身を見ると、ほとんどは譲渡までにかかった医療費です。
-
医療費が1頭7万円を超える
ピースワンコは、フィラリア検査・ワクチン・ノミダニ薬・マイクロチップ・血液検査など基本の処置だけで、1頭約7万2,000円かかると公開しています。譲渡費用の3万円では、その一部しかまかなえません。
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譲渡までの飼育費もかかる
同じ団体は、フード・人件費・シェルターの維持費を含めると、1頭あたり年間約36万円かかるとしています。保護から譲渡まで長くかかる犬もいます。
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国も実費の請求を認めている
環境省の「譲渡支援のためのガイドライン」は、健康管理や検査などの実費を手数料にできると書いています。不妊去勢やマイクロチップを先に済ませている自治体では、その費用が手数料に組み込まれている例が多いとしています。
一方で、動物愛護管理法では、利益を得る目的で動物を譲り渡すには、第一種動物取扱業の登録が必要です。保護団体の多くは営利を目的としない第二種動物取扱業として届け出ています。「いくらまでなら実費か」を金額で示した国の基準は見つかりませんでした。だからこそ、内訳を見せてもらえるかどうかが、団体を見る目安になります。
里親募集サイト・個人から迎える場合|請求できる項目が決まっている
ペットのおうちやドグーなどの里親募集サイトで、個人や団体から迎える場合は、サイトごとに請求できるお金のルールがあります。詳しくはペットのおうちの口コミ・評判にまとめています。
| サイト | 請求できるお金 |
|---|---|
| ペットのおうち | 一般会員は交通費の実費のみ |
| ドグー | 生体代は禁止。ワクチン代・避妊去勢費・マイクロチップ費・送料の4つだけ |
各サイトの公式の規約で確認。
里親募集で、ワクチン代や健康診断代として先に振り込みを求められるトラブルがあります。領収書や明細を見せてもらえない請求、会う前の振り込みには応じないでください。サイトごとの違いは里親募集サイトの比較にまとめています。
迎えた後にかかるお金|1か月約1.8万円、生涯約278万円
譲渡費用よりも大きいのは、迎えた後に毎月かかるお金です。ペットフード協会の2025年の調査では、次のような結果でした。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1か月の支出 | 平均18,041円(中央値13,000円) |
| 生涯の費用 | 2,784,190円(平均寿命14.82歳) |
| 年間の医療費 | 60,423円 |
| 年間のフード代 | 49,717円(主食) |
一般社団法人ペットフード協会「令和7年 全国犬猫飼育実態調査」。年間の項目は1頭を飼う人の平均。
保護犬は成犬や高齢の犬も多く、持病がある場合は医療費が平均より多くかかることがあります。神奈川県動物愛護センターも、飼育費の目安として年間最低10万円程度、15〜20年で約200万円と案内しています。
払う前に確かめること
- 金額の内訳:ワクチン、不妊去勢、マイクロチップ、検査のどれが済んでいて、どれが含まれるか
- 別にかかる費用:畜犬登録、マイクロチップの変更登録、届けてもらう交通費
- 払う時期:トライアルの前か、正式譲渡のときか
- トライアルで合わなかったとき:払ったお金が戻るか
- 書面に残すこと:東京都も、費用の負担は書面で確かめるよう勧めている
譲渡を受けるための条件(年齢、一人暮らし、共働きなど)は保護犬の譲渡条件で詳しく整理しています。
よくある質問
- 保護犬は無料でもらえないのですか?
- 自治体の動物愛護センターなら、大都市の多くで譲渡手数料は0円です。ただし畜犬登録やマイクロチップの変更登録などは別にかかります。民間の保護団体は、医療費の一部として3万〜4万円が中心です。
- 譲渡費用10万円と言われました。高すぎますか?
- 国が決めた上限はありません。ただ、公開されている団体の多くは3万〜4万円、高めの団体でも上限6万円でした。内訳を見せてもらい、医療費として説明がつくかを確かめてください。説明がない場合は見送るのが安全です。
- 譲渡費用は寄付金として扱われますか?
- 団体によります。ペット里親会やみなしご救援隊のように、寄付として受けている団体もあります。税金の控除の対象になるかは団体の法人の種類によるので、団体に確かめてください。
- 保護犬カフェで迎えるといくらかかりますか?
- カフェを運営している団体の決まりに従います。カフェ独自の料金表は見当たりませんでした。運営団体の公式ページで、譲渡費用と条件を確かめてください。